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「おれも、その時ふられた。三人のうちの一人に」
 ふられたことはとても悲しく、残念だったことはもちろんだが、それ以上に自分が学んできた数学では解けないことがあり、自分が解き明かしたと思っていた答えによって、時には人を傷つけることがある。今までにそのことに気がつくこともなく、考えることもできなかった自分が情けなくて、ある意味、恐ろしいとまで思っていた。
「その時のショックからなかなか立ち直れなくてなあ」

 教師になることしか考えていなかった田代先生は、ふられた時のことが頭から離れず、大学を卒業したものの教員採用試験に失敗した。教師になることの他を考えたことがなく、来年の採用試験までの一年間を、どのような身の振り方にするか悩んだ。そして、将来の教師としての視野の拡大と後学のために、それと同じ問題でも、二つ以上の違う答えがあるのだろうか、と言う思いを解決するために、あえて今までとは違う世界に自分自身を置いてみたくなった。

「それで北海道へ行かれたのですか、なんとなくわかるような気がします」
髪の一番長い大学生が大きくうなずいた。
「へえ、先生にそんな恋愛物語があったんや」
「岡村。それはちょっと違うやろが」
安達が岡村を羽がいじめにした。
「おいおい、おれかて恋愛物語の一つやふたつはあるでえ」
「先生が別人みたいに思いっきりの笑顔になってるでえ。そんなにおもろい話しやったら、ゆっくりとその恋愛物語の第一話から聞かせて下さいよ」
逢坂が興味津々である。
「いや、それよりさっきの続きの北海道の話が先や、恋愛物語の第一話はその後や、それが話の流れっちゅうもんや」
夏樹の言葉に大学生の三人も大きくうなずいた。

「いや、その前に風呂や、お前らどのベッドに寝るか早よう決めろ。毛布二枚の間にシーツを入れて、寝られるようにセットして、風呂に入るぞ。ユースホステルでの生活は時間厳守、自分のことは自分でやる、風呂の後は夕食やで」
 田代先生が入り口に一番近い左側の下のベッドに一枚目の毛布を広げて、フロントで貰ったシーツを広げた。その上に二枚目の毛布を置き、頭を置くあたりに枕を置いた。シーツは片側が開いた袋になっていて、その袋の中に自分の身を入れて寝るのである。
「さっ、行くぞ」
「はい」
夏樹たち四人と同時に大学生の三人も元気な返事をした。

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2008.08.15 / Top↑
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