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 夏樹たち五人と関東方面から来た大学生グループ十人は、簡単な自己紹介をしながら夕食を食べた。
 夏樹たち五人の自己紹介か終わり、大学生たちのトップバッターで話し始めた角刈りの川田孝弘が自己紹介を終えると、自ら起立して背筋を伸ばし少し紅潮した面持ちできりだした。
「隣にいますこの人がエリさん、高橋エリさんです。片仮名でエリと書きます。来年の春には大学を卒業する予定ですが、無事に卒業しました暁には結婚するつもりです」
「ちょっと、タカ何を言っているのよ、わたしそんな約束したっけ」
 タカが今さら何を言い出すのかと、あわてた口調でエリの両肩に手を置き、「約束したじゃないか」と食堂中に聞こえる大きな声で叫んだ。
 食堂にいた他のホステラー(ユースホステルの宿泊者)も全員がタカたちの方を見た。
「タカ、心配するなよ、お前がプロポーズした時はおれが隣で聞いていたし、エリの『はい』の言葉もしっかり聞いた。突然大勢の前で話し出したから、照れているだけだよ。なあエリ」
トシがタカを静かに、なだめるように言った。

「カッコええなあ、タカさん」
 逢坂が大きな拍手をしながら立ち上がった。
「いや、男らしいね、無事に卒業して結婚できるように、わたしも応援しているよ」
 田代先生も拍手をした。
 立ったまま背中を丸くして、頭の後ろを掻いているタカの左手を、エリが強く引っ張りながら椅子に座らせた。タカとエリは二人とも顔を真っ赤にしていた。
 食堂にいた他の人たちからも、タカの大きな声の理由が明らかになり、状況が理解できた数人からも拍手が送られた。もちろん夏樹たちと他の大学生たちからも大きな拍手が送られた。

「あれ、なんですか皆さん、何の拍手ですか」
 奥からペアレントさん(ユースホステルに泊まることは我が家に帰って来たことと同じ、と言う考えから、ユースホステルの経営者または運営者のことをそう呼ぶ)がある程度は話の状況を把握している様子で、にっこりとして食堂へ出てきた。口髭がとても似合う初老のペアレントさんだ。


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2008.08.20 / Top↑
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