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「こちらのタカさんとエリさんが来春に大学を卒業したら、結婚するとみんなの前で発表してくれはったんです」
 夏樹が自分のことのように、興奮した気持ちを、抑えながら説明した。
「いやいや、それはそれはおめでとう。青春やなあ、ええなあ若いちゅうことは」
 もともと目の細い顔立ちのペアレントさんの顔に、目がなくなってしまったような満面の笑みで、大きな拍手を送った。
「そしたら、今夜のミーティングはお二人の馴れ初めなんぞを、皆さんで聞かせてもらいまひょかあ。たっぷりと惚けてもろうてもかましまへんでえ」

 ミーティングとは食後にホステラー達との交流の時間で、みんなで歌を歌ったり、ゲームをしたりとユースホステルによって様々である。何もしないところもあるし、強制的に引っ張り出して参加させるところもある。

「そしたら早くやりましょうよ、そのミーティングとやらを、田代先生の話も聞かなあかんし」
「逢坂、あわてるなよ、まだ飯も終わってへんし、風呂もまだや。ミーティングはその後や、それにおれの恋愛話はええやないか」
「いえいえ先生、わたしたちとしては先生のその二つや三つの恋愛話の方が興味を持っておりますので、是非お聞かせ下さい」
タカと同室の二人が声をそろえて言った。
 近くに座ったもの同士がそれぞれに談笑しながら夕食を済ませた。

 夏樹たち五人と、大学生グループ十人は今までの面識はなく、今日、奈良県のとある場所ではじめて逢ったのだ。生まれた土地も、育った環境も、今の年齢、地位、職業などももちろん違う。この日たまたまここに、このユースホステルに泊まったと言う一点だけの共通点が、旧知の友のように親しく会話できる。
 ここはそんな場所なのだ。

「さあ夕飯が終わったから風呂にいこかあ」
「あれ、いま関西弁しゃべりませんでしたか、タカさん」
 逢坂がちゃかした。
「いや、そうだった。気のせいとちゃうかあ」
「ほら、また、『ちゃうかあ』って言うたやんかあ」
「こいつねえ、高校の時から旅行に出て関西の人と知り合うと、必ずうつっちゃうんだよ、関西弁がね」
 トシが笑いながら逢坂の肩を軽くたたいた。

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2008.08.22 / Top↑
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