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「小説のような、旅のはじまり 三章-⑯」


 全員に紅茶の入ったカップが行きわたり岡村とエリも席に座った。
「皆さんにカップが行きましたね、おかわりは自由ですから各自で何杯でもどうぞ」
 ペアレントさんがこのユースホステル周辺の簡単な観光案内の説明をして、ユースホステルの会員証を見せると割引になる数箇所の施設や食堂などを教えてくれた。
「先生、明日はいま聞いた食堂でお昼にしましょうよ、一割も割り引きしてくれるやないですか」
「そやなあ逢坂君、おれたちも一緒にいかないかい、なあトシ」
「タカ、君どうしたの、その話し方、なんだか変だよ」
「いつもこいつは旅に出て関西の人と知り合うと、関西弁のまねをするんだよ、まねって言うかうつっちゃうんだよね」
 トシがタカの肩を左手で抱えながら言った。

「では皆さん後はご自由にご歓談下さいませませ」
 ペアレトンさんの喋り方は受けを狙っているのが良くわかるのだけれど、あまり面白くないので、みんなが苦笑いをした。

 トシがすくっと立ち上がり田代先生の方を見て言った。
「北海道の話の続きをお聞かせいただきたいのですが」
「やっぱり、覚えてたの」
「はい、是非お願いします」
 照れ笑いをしながら田代先生が話しはじめた。

「夏樹や逢坂たちが生まれる少し前のことだから、昭和の何年だったかな、旅行と言えば修学旅行しか行ったことがないから、切符の買い方もろくに知らなかったおれは、京都駅に行って切符売り場を探して、『北海道までの切符を下さい』って言うたんや」
「ほんまですか先生、やっぱり数学しか知らんかったんですか」
 めずらしく、安達がいつもよりは大きな声で言った。
「そうだったなあ、あのころは。けど一応やけど大学に入れたんやから、数学以外も勉強はしたで」
「たしかに、数学だけでは大学には入れませんからねえ」
 タカが当たり前のことなのに、すごく感心した。
「荷物も山岳部の友達から借りたリュックに数日分の着替えと、数冊の小説と、本屋で見つけた北海道のガイドブックを入れてかついだ」
 あえて数学関係のものは何も持たなかったことを付け加えた。
 

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2008.08.27 / Top↑
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