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「あのう、なぜ今までと違う世界が、北海道になったのですか」
 背中まで髪を伸ばし髭を蓄えて丸いメガネを掛けた金子義彦が、低音で太い声でゆっくりと聞いた。
「さっきの夏樹とおなじやねん、何かの雑誌で広大な牧草地に、牛が放牧された写真が載っていてな、そこには山はなく、真っ直ぐな地平線が同じ日本にあるとは思えんかった」
「京都は三方が山に囲まれた盆地やさかい、地平線が見えるところなんって、日本にはないと思もてた」
 安達も北海道に憧れている一人なのだ。

「おれも、京都に生まれて京都の大学に行った。修学旅行で行った伊勢と東京しか知らんから、あんな地平線を見ることが出来る場所が日本にあるなんて驚いたんや。西部劇の映画でしか見たことなかったしなぁ」
「けど、先生が北海道を目指した頃って新幹線もまだ開通してへんし、すごい時間がかかったんとちゃいますかぁ」
 夏樹の鉄道知識が少し役立ったかな。
「たしか、東京までが直通の夜行列車で十二時間ぐらい、東京から青森までも夜行列車で十二時間ぐらいだったかな」
「そしたら足掛け三日ですか、乗りっぱなしで三日かかるなあ」
 逢坂が指折り数えながら驚きの表情で言った。
「今と違って座席は硬いし、揺れは大きいし、六月に出発したからクーラーのついていない列車は暑かったなあ。でも、空いていたから二人がけの座席に一人で横になって寝ることが出来たから、まあ我慢ができたけどね」

「その当時だと蒸気機関車だったんじゃないですか」
「夏樹は鉄道のことは良く知ってるなぁ。東京から青森の列車は、たぶんそうやった。六月でもだいぶ暑い日やったのに、窓は閉めたまんまで、うつらうつら眠っていても暑いのと、石炭臭かったこと覚えている」
「蒸気機関車が客車を引っ張っていたとしたら、窓は開けてはいられないですよ、そのままトンネルに入ったら大変なことになっちゃいますからね」
 金子も鉄道に詳しいらしい。


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2008.08.29 / Top↑
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