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 石垣と寿司屋の大将は小樽運河のことや、市民の有志が立ち上げた祭りの話などを聞かせてくれた。その後どのような経緯を辿っていまのように整備された運河になったのかは分からない。もしかすると反対運動が埋め立てを阻止し、観光客を対象にした整備された運河になったのではないかと思う。
「ご馳走さまでした。こんなに美味しいお寿司を食べたのはじめてす」
「さあ、夏樹君、飲みに行くよ」
「えっ、飲んでしもうたらバイクに乗れなくなってしまいますから」
「タクシーで送って行くから大丈夫さ」
「けど、そしたら明日の朝が困りますから、今日はこれで宿の方へ・・・」
「無理にさそっちゃ悪いわよ。長旅で疲れているのよ、ねえ・・・。あなたも明日は早いでしょ」
 石垣の奥さんが夏樹を気遣ってくれた。
「じゃあ明日、ちゃんと準備をして初めから居酒屋に行って、ゆっくりと飲みながら話をしようじゃないか。なんだか大田に久しぶりに会ったような気がしてさあ、とても楽しいんだよ」
「あなた何を言っているのよ。明日から東京に買い付けに行くんでしょ」
「ああっ、そうか。じゃあ北海道を離れる時にもう一度小樽に寄ってくれよ」
「おぉきにぃ、ありがとございます。今日は本当に美味しかったです」
 夏樹たち三人は寿司屋を後にして石垣の店に戻った。預けていた荷物をバイクに積み、紹介してもらった民宿に向かった。

「こんばんわぁ、遅くなりました」
「お帰りぃ、夏樹さんね。お風呂が沸いているからどうぞ。男の泊まりは、あなただけだからミーティング無しにしまぁす」
「えっ、男は俺一人なんですか」
「そうだよ、残念だなあ、この宿のミーティングは面白いのになあ」
 どことなく愛嬌があり、関西風の訛りがあるのだが、関西人ではなさそうだった。
 小樽名物の坂を登ったところに、古い佇まいの民家がある。手作りの看板に「ぽんぽん船」と書いてあった。うっかりすると見逃してしまいそうな小さな宿だ。当時、北海道に少しずつ建ちはじめた民宿だ。民宿といってもユースホステルのように男女別で相部屋、低料金の宿である。
「夏樹さん、すみません、大事なことを忘れてました。ここに名前と住所を書いてください」
 そう言ってさっき出迎えてくれた男が、笑顔で一枚の紙を差し出した。


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2012.11.09 / Top↑
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