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列車の座席は半分ほど埋まっていて、四人ずつのボックスには、一人か二人しか座っていなかった。窓からは潮の香りを含んだ風が心地よく、晴天の戸外の暑さを感じさせなかった。

「わたしは日高の牧場へ手伝いに行くのです。大学の友人の知り合いの親戚の牧場なのですが、よかったら一緒に行きませんか、時間があるのでしたら。今の季節は人手がほしいようなのです、友人も先に行ってるんですよ」
 また、呆気にとられてしまい、変な顔をして向かいの席に座った、髪が長く、髭を伸ばした、見た目がむさ苦しい男を見ていた。

 急ぐ旅でもなく、広大な牧場の地平線を見ることが、いまの目的なので、牧場と聞いて「はい、行きます」と田代先生は言った。

「鵡川で乗り換えて日高へ向かった。さっきの列車よりも空いていて、一両だけのオレンジと薄い黄色のツートンカラーで電車みたいなやつやった」
「たぶんキハ二十系の気動車ですよ、ディーゼルエンジンで動く列車じゃないかと思いますよ」

 夏樹の鉄道知識より先に、低音でゆっくりとした口調の金子に先を越されてしまった。
「髭の彼はいままでの旅の話をしはじめた。こんなに楽しいことは他にはない、と言わんばかりで、夢中になって語った。大学の三年間で日本中を列車に乗って廻り、全国で行ってないのは鉄道路線のない沖縄だけやて言うてた」
「たしかに沖縄には線路はないなぁ」
 今度は夏樹の方が早かった。

「ユースホステルのことも、その時教えてもろうた。旅館なんかより半分以下の料金で泊まれるしな、時間はあったけど金はなかったさかいなあ。それと今日のようなこんな出会いもあると教えてくれはった。たまたま、おんなじ日に、おんなじところに泊まっただけの仲間が出来る、旅ではこれが最高に楽しくて、大学にはあまり行かないで、旅ばっかりしてはったらしいは」
「そうですよね、旅の楽しみは観光地を見るより、ユースホステルで逢った人といろんな話しをして、情報交換することが楽しいよね」
 エリが微笑みながら言った。


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2008.09.05 / Top↑
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