上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑
 夏樹も恐る恐るカヌーに乗り込み、ゆっくりとパドルを漕ぎ前に進んだ。沼の水面の上を滑るように、ひと漕ぎごとに勢いよく進むと、水面を過ぎる風が陸地のそれよりもいっそう冷たく感じた。ここへ落ちてしまうと、間違いなく風をひいてしまうだろう。とても6月の気温とは思われない寒さだった。あまり遠くへは行かず、小さく時計回りに沼を廻り、元の場所へゆっくりと戻った。
「はじめてでもチャンと乗れるもんなんやねえ。面白かったですは」
「もう少し暑くなれば、みんなで湿原ツアーに出かけることも出来ますよ。いろんな生き物、植物を観察することが出来ますから。また、来てください」
 アルバイトのインストラクターの男の人が言った。
 沼の畔に佇み、他の人のカヌー漕ぎを見ていると、体中が冷えてきて黙って立っていられなくなってきた。
「寒うぅ・・・」
 思わず大きな声で言ってしまった。
「いや、本当に寒いねえ」
「あなたが最後ですね」
 もう一人の女の人に、アルバイトのインストラクターの男の人が言った。
「寒いから、今日はやめておくわ、また今度来ますから、その時までのお楽しみに」
「また,来はるの」
「難しい関西弁やねえ・・・、なんて言ったの」
「あぁ、すんません。また、来るのですか」
「今度は、変な標準語だね」
 夏樹と同じ年ぐらいの男が言った。
「標準語はよう喋らんから、しゃあないやん」
 そこにいた全員から笑い声が聞こえた。
「本当に森さんは乗らなくていいですか」
「はい、また来ますから」
 沼からカヌーを陸に上げ、みんなで担いで宿へ戻ることになった。宿に戻って夕食の前に風呂に入るように進められた。部屋に入ると沼に一緒に行った夏樹と同じ年ぐらいの男とは同部屋だった。その男と二人で風呂に向かった。
 風呂には先客が一人、湯船に浸かっていた。
「こんにちは。どちらかがスズキのバイクの人ですか」
「おれやけど、自分は関西の人?」
「関西弁に似てるよねえ、香川からです。さっき、ハルニレの木のところで赤いスズキのバイクを見かけたんですよ。そしたら、この民宿に停めてあったから・・・」
「ほんまに、そう言えばあの時、大きなバイクが走って来たような・・・」
「まあ、そう言うことは、よくあることさ」
 関東人と思われる、夏樹と同じ年ぐらいの男が言った。


・拙い文章を読んでいただき、ありがとうございます。

    にほんブログ村 旅行ブログ 国内一人旅へ にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ
           にほんブログ村
・応援いただき、ありがとうございます。

          下記URLにて、鉄道模型ブログも公開を始めました。l
          そちらへもお立ち寄り下さい
             ⇒翼芭里鉄道建設記録
スポンサーサイト
2013.06.30 / Top↑
Secret

TrackBackURL
→http://suzukaze930.blog19.fc2.com/tb.php/619-7ddb9c74

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。