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「次の日から毎日、牛舎の掃除と餌やりを朝の六時ごろから始めて、その後は機械で刈った牧草を、ホークの化け物見たいな道具を使って、乾燥しやすいようにほぐすんや、刈った牧草をグッと持ち上げてバッと空へ投げ放つんや、これがけっこうキツイねん」
「牛の乳搾りは、せんかったんですか」
「夏樹、本物の牛の側に行ったことあるか、おっきいでぇ、大人でも目の前に顔があってな、もし向かってきたら一たまりもないやろなあって思うた。牛は人間のことが分るらしいねん、初心者が側へ行って乳絞りをやろうとすると、バカにすることがあるらしい、気を付けんと尻尾ではたかれたり、後ろ足で蹴られたりするらしいわ。そやから、一回も乳搾りは、せんかった。それにそんな簡単なもんやないしな」

 田代先生は毎日まいにち牛に向かっての生活をしてるうちに、いままで勉強してきた数学的な考えが、絶対的なことではなく一つの方法ではないかな、と思うようになっていった。

「牛を相手に生活をしていると、時計以外の数字は、ほとんど見たり、聞いたりすることがなかったなあ。牛にもいろんなのがいてな、おとなしくおれの言うことを聞いて、ゆっくりと避けてくれる奴や、干草を持って行ったらふてぶてしく鼻息を飛ばす奴、むしゃくしゃ元気に餌を食べる奴に、尻尾で自分の尻の辺りをいっつもパンパンと叩きながら食べる奴もいた」
「いろいろな牛がいるんですね、面白そう」
 エリがまた、紅茶のポットを取りに立った。
「人間とおんなじで、好き嫌いをしたり、激しい気性の牛も、優しい牛もいる」

「雨が降ったら牧草ほぐしは無しや、牛舎の掃除が終わったら何にもすることが無いから、鉄さん、あっ遠藤鉄夫さん、牧場主さんのことやけどな、その鉄さんは奥さんと二人でずっとテレビを見たはった。奥さんは足を怪我したはって、牧場の仕事ができひんから、親戚の伝(つて)を頼って手伝ってくれる人を探したらしいは」
「そこで偶然にも先生が手伝うことになったわけですね。じゃあ先生は雨の日は何をしていらしたのですか」
 トシが言った。

「ただ、ボーっと景色を見ながら髭さんと、その友達の三人でいろんな話しをしたり、本を読んだりしていたなあ。髭さんとその友達は大学の友人やと思ってたら、違うたんや、髭さんの大学の友人が旅の途中で知り合った人で、髭さんとその人も北海道ではじめて会ったんやて」
「なんかすごくねえか、その鉄さんを含めて、みんながそれぞれと初対面なんて」
 低音だけれど少し興奮した様子の金子が言った。




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2008.09.13 / Top↑
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