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 合計三枚の十円玉を持って電話ボックスに入った。小さく密閉された空間は夏の日差しが全体に降り注ぎ、外の空間とは別世界のように暖かかった。ユースホステルへ電話をする前に、この温かい空気をしばし身体に溜め込んだ。何度も言うが、この日は夏のはしり、正確には六月二十一日である。しかしオホーツク海に面した北国では、まだ春が始まったばかりのような気候だった。
「はい、標津ユースホステルです」
 若そうな女の人の声が聞こえてきた。
「今日なんですけど、泊まれますか」
「一人ですか」
「はい、男一人です」
「夕食はいりますか」
「二食付でお願いします」
「いいですよ。何時ごろに着かはりますかぁ」
「すぐにでも行きたいんですけど・・・、もしかして京都の多田さんですか」
「えっ、何で分かるんですか」
「夏樹と言います、引田良子さんから聞いてませんか」
「あっ、リョウちゃんの会社の人ですか」
「正確には元、会社の人です。バイクで来たんですけど、寒くて、もう我慢ができません」
「分かりました、四時を過ぎれば入れますから、もう少し我慢して時間を潰してください」
『ピィィィー』
「もうすぐ電話が切れますから、じゃ、お願いし・・・」
 これぐらいのタイミングで電話が切れたように記憶している。あと一時間ほどでこの寒さから開放される。ユースホステルまでの距離を走る抜くためにもう少しこの電話ボックスに留まり暖まることにした。

 標津ユースホステルには四時を少し過ぎたころに着いた。一番乗りのようだった。
「お帰りなさい、夏樹さんですね」
「ただいまぁ、宜しくお願いします。あなたがさっきの多田さんですか。声から想像していた通りのひとやなあ」
「想像通りの、おでぶさんでしょ」
「いやいや、そんなことはないよ。それに電話の声だけでは、太いかどうかなんてわからへんし」
「そらそうですね。はい、これを書いてください。会員証も一緒にもらえますか」
「はい、さすが関西人、久々に関西弁を聞きましたは」
「私もです。また、後でゆっくりとお話しましょ・・・」
 そう言って彼女は、宿泊表と会員証を受け取った。

・拙い文章を読んでいただき、ありがとうございます。

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2013.08.15 / Top↑
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