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 トシがおもむろに立ち上がり、両腕を胸の前で組んで、そのまま右手であごの辺りをなでながら少し天井を見上げた。
「旅は必要とする人同士を引き合わせてくれる力を、持っているのかも知れないなあ。今日の我々の出会いも運命的なのかもしれないねえ」
「トシさん、その運命的な出会いって僕とエリさんのことですか」
「逢坂くん何を変な勘違いしてはるの」
「タカさん、冗談ですよ、それよりその変な関西弁を止めとくんなはれ」
 みんなで大笑いをした。

「牧場には二週間だけお世話になった。鉄さんの奥さんも少しやけど牧場の仕事が出来るようになったし、髭さんとその友人もだいぶ仕事に慣れてきて、乳搾りも出来るようになったから、髭さんが言っていたユースホステルに行って見ようと思ってな、急ぐ旅やないけど、いろんなところへ行って見たくなったんや」

「そしたら、これからが本格的な北海道のたびの始まりですか、だってまだ三週間ぐらいしか過ぎてませんよね、七ヶ月もの長いあいだ、北海道にいたんですよね」
 夏樹が身を乗り出して言った。

「まず、札幌に戻ってユースホステル協会の事務局で会員証を作って、ガイドブックと時刻表の地図を見て、国鉄線からさほど遠くないところを転々と移動した。国鉄から離れてバスに乗ると、今まで以上に方向音痴が邪魔をすると思ってな」
「そうですね、バスに乗って行き先を間違ったら、何処へ行ってしまうか、ここは何処、わたしは誰。見たになっちゃいますもんね」

「トシくんの言うとおり。じつは北海道で三回、本州へ入ってからは五回ぐらいそんなことがあったかな、駅の近くにはユースホステルがあんまり無くて、バスに乗らなあかんことが多かった、すると『ここは何処ですか、わたしはどっちへ行けばよいですか』って聞いたよ。そしたら『あなたは何処から来たの、何処へ行きたいの』って聞き返されたんや、なんとも情けなかったなあ」

「じゃ、目的のユースホステルに辿り着けないこともあったんじゃないですか」
「金子くん、『あったんじゃないですか』どころじゃないよ、しょっちゅうだよ、三日に一回は駅やお寺の軒下なんかに野宿をしなあ。まっ、それはそれで面白かったけどね」


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2008.09.16 / Top↑
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