上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑





 田代先生は札幌から小樽へ行き、とりあえず北上した。先生にとってはとても苦手な地理の世界と、毎日、格闘しながら各地を廻り、行く先々で地元の人、列車、ユースホステル、または野宿の時に様々な人たちとの出会い、会話を通じて、多くのことを学び、吸収していった。大学生十人と教え子の高校生四人に、時間を忘れて夢中に話した。

「最北端の稚内へ向かう途中で礼文島に行ったんや、七月のはじめごろかなあ、そこのユースホステルで『夏休み入ると人が多くなるから、手伝ってくれないか』と頼まれて、ちょうど懐も寂しくなって来たから、しばらくはバイトをすることにしたんや」
「それって、伝説の桃岩荘ですか」
 エリが大きな声で聞いた。

「いや、別のユースホステルなんや、伝説はづっと後から聞いたから。結局、そこには十月ごろまでいたかな、人は少なくなったけれど、冬支度の準備も手伝って、雪がちらついて来たころに島を出て、稚内からオホーツクへ、そして内陸方面にも行ったし、知床あたりで新年を迎えた。根室、釧路、帯広から襟裳岬のユースホステルで日高の牧場に電話したら、髭さんが、残って手伝っていたんや。それでそこに寄ろうと思ったんやけどな、実家の親父が入院したって聞いて、急遽、京都へ帰ったんや」

「じゃあ放浪の旅も終わったんですか」
 タカが聞いた。
「いいや、親父が入院したんはほんまやけどな、盲腸やったんや、一週間もせん内に退院したから、京都では珍しい雪の原を見に東北へ向かった、かまくらも見たかったしな、日本海沿いの夜行でな」

「寝台特急『日本海』ですね」
 夏樹はまた金子に先をこされてしまい、少ししょぼくれた。
「そこから、ゆっくりと各地を廻って、関東、信州、北陸から山陰、九州まで行こうと思ったんやけどな、教員採用試験を受けるために、かまくらを見たら京都へ帰って勉強した、もっと日本中を行って見たかったけれど、いつまでもブラブラしてられへんしなあ、そしたら次の年に採用が決まって、教師になったんや」

  ランキングに参加しています
  下をポチッとクリックしてください。ご協力お願いします。
       ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

にほんブログ村 旅行ブログへ にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ
スポンサーサイト
2008.09.17 / Top↑
Secret

TrackBackURL
→http://suzukaze930.blog19.fc2.com/tb.php/64-95124b7d

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。