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 神田牧場の自宅には神田の他に、五才の女の子とようやく歩き始めた男の子、そしてお腹の大きな奥さんの間もなく五人家族だ。夕飯にはトンカツがおかずとして食卓に上がっていた。
「おにいさん、何もないけど食べてください」
 神田の奥さんは夏樹の前に味噌汁とご飯を置き、大きなお腹を持ち上げるように、「よいしょ」とかけ声をかけながら立ち上がり台所へと行った。
「神田さんはまだ仕事ですか」
「もう少しで、乳しぼりも終わってくるころだから、冷めないうちにどうぞ。うちに来たら一切の遠慮はなしだからね、その代わり旅館みたいなごちそうは出せないから」
 台所に立ったまま奥さんが言った。その足元をようやく歩き始めた男の子が、足にまとわりつき、夏樹を警戒するように見ていた。五歳のお姉ちゃんは黙ってテレビに夢中になっていた。
「姉ちゃん、御飯だよ、こっちにおいで」
 お姉ちゃんはそう言われても微動だにせず、テレビに向かっていた。
「おかえりい」
 ちょうどそこへ神田さんが帰って来た。
「夏樹君、ビール、飲めるだろ」
「えっ、いいんですか。おれ、まだ大した仕事をしてませんけど・・・」
 と言い終わる前に、夏樹の目の前にはビール用のコップが置かれ、神田はビール瓶の栓を抜いていた。
「うちに来たら、一切の遠慮はなし。仕事をするときは頑張ってもらって、終わったらこれを飲んで、今日もご苦労さん・・・」
 神田はそういって夏樹の前に置かれたコップにビールを注ぎ入れ、自分のコップにも注ぎ、軽くカップを上げた。
「はい、お疲れさん」
 一気にそのビールを飲み干してしまった神田は、また直ぐに自分のコップにビールを注いだ。
「お兄さんも早く飲まないと、一杯だけで終わっちゃうよ。手伝ってくれた人が何人いても、一日一本だけなんだから、早い者勝ちだよ」
 その時、神田のコップに入っていた二杯目のビールが飲み干され、とりあえず空のコップが食卓の上に置かれた。牛と共に暮らし生活している一組の家族が、本当はとても大変なことも、いっぱいあるのだろうけれど、とても楽しそうな、幸せそうな家族に見えた。今日と、明日の二晩だけれど、夏樹も家族の一員として遠慮なく楽しませていただくことにした。

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2015.05.24 / Top↑
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