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 翌朝、五時三十分に起床。外はどんよりと曇っていた。一昨日から借りている長靴を履き牛舎へ向かう。牛舎の入り口には牛たちが群れを成して待っていた。入り口を開くと我さきに中へ入り、配合飼料などが入った餌箱へとゆっくりと向かう。それぞれに決まった餌箱があるのか、近くにあるところから埋まっていくわけでもなさそうだ。
 餌箱に首を突っ込むと、ロープをかけやすい位置に首輪が来るようになっていて、まずロープで牛たちを繋ぐことから始まる。わき目も振らずに餌をむさぼるように食べ始め、中には隣の牛の餌箱にまで首を突っ込む輩もいる。餌を食べつくし、腹も気持ちもゆっくりしたのか、あちらこちらで排便、排尿が始まった。しかしそんなことには構ってはいられない。入り口に近いところにいる牛から順に濡れた布で、必ず四本ある乳首を拭き、搾乳機へつながる吸引機を乳首につけると、二本ずつが交互に吸引するようにできている。吸引された生乳は透明のパイプを勢いよく流れ、牛舎の奥にあるタンクへ送られる。一頭の搾乳は五分ほどで終わり、首輪からロープを外すと牛は外へと歩き出す。二時間三十分ほどで全ての牛の搾乳が終わった。
 吸引機を取り付けるだけで搾乳できるから、乳搾りをしたという実感はないが、確実に生乳はタンクに溜まり、午前中には生乳専用のタンクローリーが取りに来るのだそうだ。
「夏樹君、お疲れ。今日は干し草刈りはやらないからね、朝飯食ったら、寝ていていいよ」
「お疲れさまです。今日はとてもいい経験をさせてもらえて、よかったです」
 朝飯の後は居間でテレビを見ながらごろごろしていた。そのうちに寝入ってしまったようだが、神田のいびきで目が覚めた時にはもう昼に近かった。このままここでゴロゴロしていても仕方がないので、昼飯をいただいたらユースホステルに向かうことにした。
「短い期間でしたが、お世話になりました。ほんま、ええ経験をさせてもらえて。ありがとうごじました」
「こちこっそ、助かったよ。もう帰っちゃうのか」
「はい、クッチャロ湖のお祭りが終わったら、本州へ向けて南下します」
「じゃあ、今度は冬に遊びにおいでよ。雪景色もなかなかいいよ」
「そうそう、寒いけど絶景だから、来てくださいな」
 奥さんも笑顔で見送ってくれた。


・拙い文章を読んでいただき、ありがとうございます。

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2015.06.27 / Top↑
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