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「そろそろ行かんと列車に乗り遅れんのとちゃうか」
 飛沢が夏樹と赤川に大きな声で言った。
「あっ、やべぇ、もうこんな時間か」
「急がんとあかんなあ」
 四人は駅員さんにお礼を言って、山陰本線の上り線ホームに向かった。いったん綾部に戻り舞鶴線に乗り宮津へ向かう。宮津線で丹後山田へ、そこから加悦鉄道に乗りに行くのだ。(残念ながら昭和六十年四月に営業終了してしまった)

 この当時の山陰本線はほとんどの区間で単線だったために、駅ではない場所で上り下りの列車がすれ違うことはなかった。しかし、福知山と綾部の間には、ほぼ直線で複線の区間がある。ここでは上り下りの列車が、走りながらすれ違うことができる。山陰本線では大変珍しいことなのだ。

「来年の夏休みには、こうやって遊びに出かけることは、でけへんやろうなあ」
 飛沢が少し寂しそうに言った。
「そやなあ、俺も来年の今頃は、こんなことしてらへんやろなあ」
 車窓から見える田園風景をぼんやりと見ながら、石田もなんとなく寂しげである。
「なんでやねん、これから楽しみ行くのに、そんなしみったれたことを言うなよ」
「夏樹の言うとおりや、ましてや来年のことなんか喋るなよ。鬼が笑うで」
 赤川は少し興奮しているようだ。

「飛沢も進学なんやろ」
「そうや、石田はどこの大学へいくんや」
「俺の頭ではなあ、行きたいところやのうて、とりあえず入れるところへ行くしかないもんなあ」
「俺もやなあ。けど、できれば家から通えるところへ、行きたいねんけどなあ」
「それの方が親の負担も少なくてすむしなあ」

「なんや、お前ら大学に行くのか。それで来年は受験勉強をせんといかんから、こんなことをしてられへんて言うことか。その程度の理由で大学に行って何をやるつもりや。そやから、今の大学生なんか遊んでるやつばっかりで、いつ勉強をしてんのか分からへんのが多すぎる。出席日数が足らんから留年して、それでも懲りずに遊び惚けるから、結局、退学してヒッピーみたなんになって、なんもせんと、フラフラしてるやつらがいるやないか。とりあえず大学へ行くやなんて、俺はきらいや」
 赤川がますます興奮してきた。
 


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2008.10.14 / Top↑
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