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 車内のほとんどの人たちはおもいおもいのスタイルで眠っているように見える。何人かのおじさんは、透明のガラスカップに入った酒や、缶ビールを片手に持ち、寝るでもなく、起きているでもないような、赤い顔をしてとても気持ちの良いように見える。まさしく夢心地といったところだろうか、あのおじさんたちには、列車の揺れ具合がちょうど良い感じの揺れ具合なのだろう。

 日付が替わり安達と夏樹は小声で話しをしていた。内緒話に花が咲いたような光景で、学校の教室や街中の喫茶店などで、こうやって男子高校生二人が、お互いの顔を近づけて、小声で話をしていたら、とても滑稽であろう。
 夏樹はうとうとと眠ってしまいそうなのだけれど、缶ビール片手のおじさんのように、列車の揺れが心地良い揺れとはならず、しっかりと眠ることは出来なかった。
 眠いのだけれど、揺れと列車の走行音が、睡眠の邪魔をするのだ。

「安達の言うとおりやな、ひとっつも寝られへんは」
「けどさっき、大きな鼾をかいてたで」
「うそう、俺って鼾をかくのんかいな、なんかショックやなあ、そんなこと言われたん初めてやで」
「五分ぐらいやったかな、すぐに目を覚ましたけどな、少しだけやけど寝てることには間違いないわな」
「そんなこと聞かされたら、気になって寝らへんがな」
「なんも気にすることなかあらへん、見てみ、あそこのおじさん、思いっきり鼾かいてるはる、さっきからずっとや。けど、走行音の方がうるさいから、ぜんぜん気にならへんやろ」

 夏樹から見れば二つ後ろの席で、通路側の肘掛を枕代わりにして、夏樹たちの方へ顔を向けて寝ている、五十代ぐらいのおじさんが見えた。鼾の音が聞こえるが、それ以上に『ガタンゴトン、ガタンゴトン』の音の方が大きく、あまり聞こえてこなかった。

「ほんまやな、静かな部屋で一緒やったらかなりの顰蹙(ひんしゅく)もんかもしれへんなあ。あれ、もしかして自分は全然寝てへんのか」
「うるさいのと揺れが大きさかいになあ、それと少し考えごとをしてたさかいに、目が冴えてしもうたは」
「なんぞ、悩みでもあんのんかあ、俺でよかったら相談にのるでえ」
「おうきに」

『ガタンガガッタガタゴトン』
 大きく左右に揺れて、ポイントの上を通る大きな音がした。スピードも急に遅くなってきたようだ。どこかの駅に入って行ったのだろう。

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2008.10.31 / Top↑
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