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 餘部の駅には停車しなかった。駅を通過する時は徐行したけれど、停車しないで次の駅に向かった。

「もちろん中学生がタバコを吸うのは悪いことやし、先生に見つかったら大変なことになったけど、見つからんようにうまいことやってた」
「誰も見つからんかったんか」
「そやなあ、柔道部以外で吸ってた連中は学校で吸うてから見つかって、えらい怒られて、親も呼び出されたりしてたなあ」
「ほな、柔道部は見つからんかったんか」
「うん、学校では絶対に吸わんかったからなあ。それに日に二、三本やったし」
「そしたらお前もその時に覚えたんか」
 安達は小さく頭を下げて、頷いた。
「先輩に強制されて始めた分けやないで、軽く進められて興味半分で吸ってみたんや、そしたら思いっきりむせて、何でこんなんが美味しいんか分からんかたけど、しばらくしてから、その香りがなんとなくリラックスできた」

 その後も安達は時々吸うようになった。ただ運が良かっただけなのか、見つかることはなかった。徐々に常習化していて、止めることが出来なくなっていた。しかし、常に悪いことをしているという罪悪感がつきまとい、その罪悪感を打ち消すかのように柔道の練習に励んだ。

「それで、そのワルグループ達には標的にされんかったんか」
「うん、学校にいる時はほとんど、柔道部の友達や先輩と一緒にいたから、絡まれることはなかったなあ。柔道の練習のことを思えば、あんな連中どうっちゅうことないように思えてきたんや。それだけ厳しい練習やったし、俺にも力がついてきてそんな連中なんか何も怖いことなくなった」
「いろんな自信がもてたっちゅうことやな」
「高校に入ってからは、親父が体を壊したから、家の手伝いをせんといかんようになって、柔道も止めたんやけど、タバコだけはいまだに止められへんのんやあ」
 安達はそう言うと真っ暗で何も見えない車窓を、少し寂しそうに眺めた。

「まあええやん、そんなにいっぱい吸うてるんとちゃうやろ、それに学校では吸ってないんやろ、悪いことには違いなけど、いまどきの高校生はみんな吸うてんのとちゃうの」
 たいした確証もなく、夏樹は少し落ち込んだ安達を励ましたつもりだった。




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2008.11.17 / Top↑
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