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「俺もな、自分自身にそう言い聞かせてはいるんやけどなあ。そしたら最近、中学時代にタバコを吸っていたという情報を嗅ぎつけた奴がいてなあ、『けっこう悪かったんやなあ、今はまじめな振りをしてるだけなんやろ』って絡んでくる奴らがいてなあ、どうやって逃げるか悩んでんねん」
「安達って、とてもクールなイメージがあるんやけど、まじめで以外に考えこむほうなんやなあ」
「クールなイメージってどんなんやねん」
「そんな連中は柔道の巴投げでも掛けて、ぶっ飛ばしてやったらええねん」
「そんなことは出来ひん。武道は人を懲らしめるためのものやない、自分自身を鍛えるためのもんや。それに巴投げなんて、そんな簡単に掛けらる技とちゃうで」
 夏樹は柔道の技の名前で、巴投げしか知らなかった。
「やっぱりまじめなんや、とてもタバコを吸ってる不良高校生には見えへんなあ」
「おいおい、人がまじめに悩みを相談してんのに」

 夏樹の後ろの席で大きな鼾をかいていたおじさんが、急にむくっと起き上がり、すくっと立った。列車の揺れに着いていけずに大きく左右によろめきながら、夏樹と安達の座っている座席の横を通りすぎ、トイレのある乗降デッキの方へ歩いて行った。途中、何度も転びそうになり、座席の背もたれを掴んで体のバランスを整えていた。

「あのおじさん大丈夫かいな、今にもこけそうやで」
「その絡んでくる連中って本村と同じ中学の奴らやろ」
「そうそう、なんでわかんの」
「あいつらなら、大したことないで、俺と同じクラスやけどな、ただそうやって話をしてくるだけで、それ以上のことは何もないで。人のことを色々と詮索したいだけやねん。ほんま、適当に話を合わせとけばええねん」
「ほんまかいな、夏樹の言うこと信じるで」
「元M中学の豪腕柔術師が、あんな奴らごときに、なにをビビッてんねん」
「なんやそれ、俺はもともとビビリや、小心者なんや、ほっといて」
「そうそう、それでええねん『ほっといて』て言うてたらええやんか」

 その時さっきトイレに行った夏樹の後ろの席のおじさんが、座席の背もたれを掴んで体のバランスを整えながら、夏樹たちの横を通り過ぎて行った。



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2008.11.19 / Top↑
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