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 車内で話をする人は誰もいなかった。時々、何処からか鼾が聞こえてきた。
 車窓には夏樹と安達がぼんやりと映し出されているだけで、外の景色は何も見えない。ようく目を凝らして窓の外を見ていると、電柱につけられた裸電球や、横断歩道を照らす明るい光、夜中に走る車のライト、消し忘れたのか家の外灯などが時々見える。

「まだ、三時過ぎかあ、外は真っ暗やなあ」
「四時半ごろに鳥取で、七時半ごろに米子やろ」
「米子の二つ手前の伯耆大山で伯備線に乗り換えて新見へ、そして芸備線で備後落合、木次線でいよいよ出雲坂根の駅に着く。昼ごろにはつくはずやなあ」
「さすがに夏樹やな、時刻表が頭の中に入ってるみたいやなあ」
「好きこそものの上手なれ、って言うやろ。ところでさっきの話は気がすんだんか」
「ああ。『ほっといてぇ』やろ」
「そう、その調子や『ほっといてぇ』や」

 二人は顔を見合わせて小さな声で笑った。その時「ゴゴゴーーーーー」とトンネルに入った。夏樹はここぞとばかりに大きな声で笑った。安達もその声につられて大きな声を出して笑った。

「ほな少し寝よか、まだ伯耆大山までは三時間ぐらいあるしなあ」
「そやな、寝よか、おやすみ」

 二人は通路側の肘掛を枕代わりに、窓側に足を伸ばし、眠ることにした。
「なあ安達、俺が鼾をかいてもほっといてな、うるさいかも知れへんけど、列車の音よりは静かやと思うから」
「ああ、俺の方が大きい鼾をかくかもな、その時はほっといてやあ」



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2008.11.22 / Top↑
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