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 肘掛の枕は硬く、少し窮屈だけれど、それ以上に睡魔が勝り、わずかな時間ではあったが熟睡したようだ。どこかの駅を発車する時の大きな揺れで目が覚めた時には、列車の進行方向左の山々の間から、登ったばかりの眩しい日差しが、車内を照らしていた。

「朝になったな」
「夏樹、ここは何処や。ぐっすりと寝たけど、まさか乗り過ごしてへんやろなあ」
「大丈夫や、いま六時半やから」
「伯耆大山駅では、乗り換えにあんまり時間がないんやろ」
「十分ぐらいかな」
「今のうちにトイレに行ってくるは、顔も洗わんとなあ」

 伯耆大山駅からの列車は、新見行きの三両編成のディーゼルカー。休日の早朝だからなのか乗客はまばらで、三両に散らばっている人たちを一両にまとめても、まだ全席は埋まらないだろう。平日のこの時間帯なら高校生の黒や紺色の制服で埋め尽くされているのだろうか。
 伯耆大山駅を出てすぐに、雪をかぶった大山が見えてきた。中国地方の最高峰、だったよなあ。たぶん。

「新見駅では乗り換えに一時間ぐらいあるから、売店でパンでも買って朝飯にしようか」
「そやな、それがええわ。腹が減った」

 新見駅に着くまでにいくつかの駅に停車したけれど、乗降客はほとんどなく、新見に着いた時には各車両に十人ぐらいの人しか乗っていなかった。国鉄時代の話です。

 新見に近づくにしたがって、線路の両脇に山が迫って来た。
 後々になって知ったことだが、この辺りの鳥取、島根、岡山、広島の県境周辺はあの有名な探偵『金田一耕助』が、たびたび活躍した地である。映画やテレビで見たことがあるような風景が車窓からうかがえたように思う。
 そして、今目指しているスイッチバックのある出雲坂根より三っ目の駅,亀嵩駅は、松本清張先生の『砂の器』の舞台になった場所である。記憶違いでなければ、この映画を初めて見たのは中学校か高校の時の芸術鑑賞会だったと思う。
多感なる思春期にあの映画を見たときは、十代なりにいろんなことを考えさせられて、ある意味、カルチャーショックを受けたように思う。

 新見に着いた時は、もう九時を過ぎていた。この駅の売店でアンパンとコーヒー牛乳を買い、少し遅めの朝飯となった。



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2008.11.25 / Top↑
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