上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑





 新見から備後落合への列車もディーゼルカー三両編成だった。こちらも乗客は少なく、車内はがらんとしていた。
「なんか山ばっかりやなあ」
「中国山地を横断中やからな、けどこの辺ってあんまり高い山がないのか、何処にでも道路があって家があって、それなりに標高は高いんやろうけど、すごく周りの山が低く感じるなあ」
「そらあ信州の山々よりは、はるかに標高が低いし、尖がった山もないから山頂付近にも、道があって、家があるんやろなあ」
 安達はそう話しながら、ジャンパーの下に着ているウエスタンシャツの胸ポケットから、タバコを出した。

「安達、俺といる時は吸うてもええけど、他の奴といる時は我慢しいや。ましてや学校では絶対に吸うなよ、そうせんと、ややこしい奴らに、またからまれたりするで」
「ああ、分かってる」

 備後落合に着いた時には、昼時を少し過ぎていた。駅の立ち食いそばで昼食を済ませ、木次線に乗りいよいよスイッチバックのある出雲坂根駅に向かう。
 木次線はディーゼルカー一両だけの、ローカル線である。今の時刻表を見ても、備後落合から、宍道までの列車は一日四本しかない。
 当時の時刻表がないので、不確かではあるが、あの頃は広島からの急行も走っていたように思う。

 備後落合駅を出てからしばらく走っても、あまり速度は上がらなかった。かなり勾配が大きいようだ。一両のディーゼルカーの車内は、今までの列車以上に人が少なく、車掌さんも客室の座席に座り、雑誌を読みはじめる始末である。(職務中にそんなことしていてイイのかな)
 列車の速度は上がらないが、エンジン音は今までになく、唸るような大きな音を出していた。勾配の大きさをエンジン音という形で表現しているようだ。
 右も左も山ばかりの風景の中をゆっくりと、そして確実に前へ進んでいくディーゼルカーはようやく出雲坂根の駅に着いた。



  ランキングに参加しています
  下をポチッとクリックしてください。ご協力お願いします。
       ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

にほんブログ村 旅行ブログへ にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ
スポンサーサイト
2008.11.26 / Top↑
Secret

TrackBackURL
→http://suzukaze930.blog19.fc2.com/tb.php/90-2699dd03

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。