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「夏樹君、野球をやってたんか」
「いいえ、本格的にピッチャーをやったんは、川田さんのところが初めてなんです」
「社長、うちのBチームて言うたやろ。Aチームは経験者が多いし、大会でも上位を狙えるけど、Bチームは俺がキャプテンで一番を打つチームや、まだ一勝もしてなかったんやけどな、こないだの練習試合で彼が投げてくれたから、初めて勝ったんや」
 アルバイト先の社長が誇らしげに、初勝利を語った。川田社長がキャプテンである理由は分かるが、なぜ一番を打つのかは、単に一回でも多く打順が回ってくるからである。社長としての特権と言える。

「川田さん、勝ったって言うても、相手は五十才以上の人たちのチームやったし、毎回のようにフォアーボールでランナーを出してた、ノーコンピッチャーです」
「けど、球は速かったでえ、外野にはあんまり飛ばんかったしなあ」
「あっそうかあ、昼休みにわしとキャッチボールをしてくれる相手が出来そうやなあ」
「それって、採用決定ということですか」
 夏樹は心の中で小さく言った。

 夏休みが終り、二学期がはじまるとクラスの就職組たちには、採用試験の通知が届きはじめた。就職試験の解禁は十月一日だった。多くの就職を希望するものは、その日に試験を受けに行った。
 しかし、夏樹には採用試験の通知が来なかった。就職試験の解禁が十月一日とは言っても、十月になってから試験日の通知が届く企業もあった。
 夏樹はアルバイト先の社長に紹介してもらった会社だけに絞っていたから、毎日、試験の通知が届かないことに少しあせっていた。
 十月の十日ごろになると就職を希望するもの全員に、試験日の通知が届いた。夏樹の希望する会社からは、学校に求人が来ていないので、自分で会社へ電話して直接聞いた。

 電話の向こうには染物工場の総務部長が応対した。
「こないだのが面接試験ですから、あまり早くに採用通知を送ると何かと不都合なんで、そろそろ送りますから」
 夏樹はようやく気持ちが落ち着いた。



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2008.12.17 / Top↑
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