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まいどぉ おぉきにぃ、 

「今夜は名古屋に泊まるだけなんでしょ、名古屋までなら直ぐに着いちゃうから、家で一休みしていったら」
 名前は分からないが、年が明けておしるこを食べる時から、夏樹たちと一緒に行動をしていた大学生風の男が言った。少し強めに掛けたパーマが伸びてしまい、ソフトアフロのようになっていた。
「いや、でもまだ今日の泊まるところは予約していないし、もしかしたら岐阜まで行くかも知れへんしなあ。それに今日、初めて会った人の家に図々しく上がりこむわけにわいかへんやろう」
 夏樹はゆっくりと歩きながら話した。
「じゃあユースホステルに戻ったら名古屋市周辺のユースホステルに電話して聞いてみるといいよ、おそらく何処も休業中だよ、正月は」
「ほんまかいなあ、この稼ぎ時に休むやなんて」
 夏樹はユースホステルに戻り、正月の特別な朝食を昨夜から共に歌い新年を迎えた多くの人たちといただいた。
 それからガイドブックを持って公衆電話に向かった。名古屋市内の二軒のユースホステルと、岐阜市内の二軒のユースホステルも休業中だった。明日は高山線で金沢まで行く予定にしているので、その路線からあまり外れたところには泊まりたくなかった。

「何でこの正月の稼ぎ時に休んでるんやろ」
 夏樹は公衆電話からみんなのいるロビーに戻って来て言った。
「年末年始に都市へ遊びに来る人は、あまりいないんじゃないかな。東京だって初詣に行く神社なんかは大勢の人が集まるけど、首都高なんかはあまり混雑しないらしいわよ。多くの人は実家へ帰省したり、観光地やスキー場へ遊びに行ったりするんじゃない」
 タナカが言った。
「だから言っただろう、今日は名古屋駅の近くのビジネスホテルにでも泊まったら。彼女が言ったようにおそらく空いているから、ゆっくりしてから名古屋に向かえばいいよ」
 ソフトアフロの男が言った。





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2009.11.25 Wed l 旅(小説のような)七章 l COM(0) TB(0) l top ▲
 ゆっくりと太陽が昇りあたりは完全に明るくなった。寒さもようやく和らいできた。
「さてと、ユースホステルに戻って朝食をいただきましょうか」
 智史が言った。特別メニューとして、少しの御節と雑煮が本日の朝食だとタナカが教えてくれた。
「さっきのぜんざいを食べた時に思ったんやけど、この辺の餅って四角いんやねえ」
「夏樹君それって普通じゃないの。餅は四角いものだよ」
 ケイコが言った。
「関西の餅は丸ですよ。高校の三年間の年末は餅屋でアルバイトをしてましたからねえ、機械で餅を搾り出してカッターで、チョキンチョキンと切るんですよ、ほんで切られた餅は滑り台を転げ落ちて、それを浅い箱に並べると、柔らかいから勝手に丸くて平べったい餅になりよるんですは」
「ほな大福と同じで丸い餅なんや」
 トオルが懲りずに変な関西弁を使って言ったが、夏樹は呆れてしまい、もう突っ込みを入れなかった。

 帰り道は初日が昇った快晴の空の下を、昨夜からのコンサートで歌った歌のそれぞれの思いを話したり、今までに行った旅の話しをしたりしながら数人が固まっては散らばりゆっくりと歩いた。
「皆さん、今日のこの後は家に帰らはるんですか」
「正月は実家に帰って新年の挨拶をしないとねえ」
 智史が言った。
「私は別にこのまま、休み中を何処かへ旅行をしてもいいのだけれどねえ」
 ケイコは智史の方を見上げて言った。
「私たちも朝食を食べたら帰ります、そして元旦は家で過ごさないと母親がちょっと煩くてね」
 タナカが言った。
「夏樹さんは帰らないの」
 岡本が言った。
「俺、今日は名古屋あたりに泊まって、明日は金沢に向かう予定なんです。連休は必ずどこかへ旅に出るという、他人から見ればどうでもいいようなことなんやけど去年の春に決めたんやけどね」



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2009.11.21 Sat l 旅(小説のような)七章 l COM(0) TB(0) l top ▲
 少しずつ明るくなってきた海岸は今までよりも風が強く、さらに冷たく感じてきた。
 ユースホステルのスタッフが買い物籠に湯のみ茶碗を入れて持ってきた。その後ろから一升瓶を持ったスタッフも来た。新年のお神酒を持って来てくれたのだ。何人かの手が湯のみ茶碗を手に取り、お神酒を注いでもらい一気に飲み乾していった。
 夏樹と智史、トオル、ケイコが湯のみ茶碗を手に取り、お神酒を注いでもらった。
「あけまして、おめでとう」
 四人は湯のみ茶碗を目の前に上げ乾杯した。
「だいぶ明るくなってきたけど、まだ陽が登らへんなあ」
「日の出の時間は何時なのかな。それにしても寒いねえ」
 智史が言った。
 水平線近くには低い雲が垂れ込めていたが、それ以外の全ての空には雲はなく、東に近い空の色が少し赤くなってきった。
「さぶ、さぶ、さぶ」
 夏樹は左右の手を胸の前で忙しなくすり合わせ、両足を上下にばたばたと動かした。
「水平線の雲がなければ、もう陽は出てきているのかな」
 田中も夏樹と同じような動きをしながら言った。
「かなり明るくなってきたけれど、まだなんじゃないかなあ」
「トオルさん、日の出の時間をしってはるんですか」
「そんなもん知らんは」
「また、その変な関西弁はやめてえな。おもいっきり変なんでっせ」
「なんか君も変になってきているよ」
 智史が言った。
「ねえねえ、あそこの雲の間から太陽が少し顔を出して来たんじゃなあい」
 岡本が水平線の一番明るくなっている方角を指差して言った。
「おぉぉーーーー」
 海岸のあちらこちらから歓声が上がった。少しずつ雲の間から太陽が昇ってきた。待ちに待った初日の出の登場である。両手を合わせ目を瞑り、拝み始めるものもいた。
 しばらくのあいだ、誰も言葉を発せず、初日の方へ視線を向けていた。

初日の出





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2009.11.18 Wed l l COM(0) TB(0) l top ▲